N先生の思い出
N先生は私が小学校5年生の時に担任してもらった女の先生だ
少し病弱だったせいかすごく細くて、40歳は過ぎていたけど独身で
それまでは何年も障害のある子供たちの学級の担任をされていた
前に担任してもらった先生(活発で女性だけれど校長までされた)
とは対照的で
物静かで、地味で、でも芯があって、優しい先生だった
ある時イライラしてて「一人勉強ノート」1ページいっぱいに
ぐちゃぐちゃに殴り書きしたことがあった・・・消しゴムで消したけど
力いっぱい書いたので痕が残って
でも、何事もなかったように次のページに宿題をして提出した
そしたらその殴り書きの痕のぺーじに
「あかねぎさんの気持ちが伝わってきました・・・」と書いて返してくれた
「なにやってるの!?」と責めることもなく
「何があったの?」と詮索する訳でもなく
何も聞かずただただ寄り添ってくれている感じがして
胸が熱くなったのを覚えている
他の子にもそうだった
クラスに「焼き鳥屋」さんの子がいて
「フナの解剖」のあと彼が「フナがかわいそうだ」と泣き出した
クラスのほとんどは心の中で
「お前んち焼き鳥屋だろ、鳥はどうなんだ?」と
シラケてたけどN先生だけは
「○○君は優しいねえー」と一緒に泣いていた
N先生がお亡くなりになったことを知ったのは5年ほど前
私たちを受け持った後はずっと
聾学校の先生をされていたそうだ
辛いことがあったとき一緒に泣いてくれる人
嬉しいことがあったとき一緒に喜んでくれる人
そういう優しい先生だった
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